Journal@rciveに期待する日本の学術発展



学術誌52誌をネット公開 湯川博士のノーベル賞論文も


電子ジャーナルとしてJ-STAGE*1がありますが、こちらは知名度が低く、一般の利用者が多いとは言えず、残念です。


産学連携が叫ばれる昨今ですが、連携が進んでいるのは知名度という武器を持つ有名大学が殆どです。
優れた研究者が有名大学に引き抜かれるため、有名大学に行けば優れた連携が進められるといった論理でしょうか。


まるで研究者のデパートです。
良い商品はデパートに行けば手に入る。


しかし、デパートの商品棚に許容量があるように、大学にも受け入れ容量があります。
空きがなければ、いかに優れた研究者でもその知名度の恩恵を得ることは出来ません。
そういった研究者は日本に沢山いるはずです。
残念ですが、そういった研究者に学術界の外からスポットライトが当てられることはほぼありません。


さて、GoogleAmazoniTMSのようにWebではロングテールによる経済連鎖革命が起こっています。

その事実を社会に最も広げた人物、「ウェブ進化論」の梅田望夫氏はその著書の中でこう述べています。

「何かを表現したって誰にも届かない」という諦観は「何かを表現すれば、それを必要とする誰かにきっと届くはず」という希望に変わろうとしている。


こちら側の知名度による差別を、あちら側でフラットに!

そうすることで、様々な研究者にスポットライトが当てられ、産学がより連携しやすい状況を生み出すことができるのではないでしょうか?


Journal@rchiveで、そういった構造を生み出すためにも、私の希望を含め、必要と思われる事をリストアップしてみます。

  1. 物量の充実:なによりも物量が大切だと思います。「ココに無ければ無い」と思い込ませるgoogleが良い例です。量は説得力を持ちユーザを引き付けるでしょう。
  2. 優れた検索:量が増えても、そこにたどり着けなければ無意味です。論文のタイトル、著者はもちろん、内容までもが検索対称になる必要があるでしょう。
  3. 情報の鮮度:最新情報が最速で掲載される必要があります。論文誌に掲載されて1ヶ月後にWebで公開されては遅いのです。最先端は常に過去となります。
  4. RSS/Atom:この類のサイトは毎日訪れることは無いでしょうから、自分の欲しい分野の情報(掲載論文)が更新されたことを知らせるRSSなどを配信する心遣いが欲しい。医療系フィード、工学系フィード、など等。
  5. 自由な参照:各論文ごとにパーマリンクを付けるというアイデア。これが実現すると「面白い論文あったよ」とblogで紹介したり、「こういう論文が参考になるのでは」といったコメントによるアドバイスで、論文が人に読まれやすい状況を作れると思います。

こういった試みに否定的な指摘も多々あるとは思いますが、
学術界がより良い方向に進んでくれることを祈ります。

*1:J-STAGEとは、独立行政法人科学技術振興機構 (JST) が構築した「科学技術情報発信・流通総合システム」。